（六） 彼が私たちのわずらいを身に引き受けた

テキストマタイ八・一〜一七

この箇所には素晴らしいみことばがあります。みことばはすべて素晴らしいものです。この祝福に満ちた聖書は、この上なく素晴らしいいのちと健康と平和と豊かさをもたらしてくれます。それは、私たちがもう二度と貧しいみじめな者とならないためです。聖書は私にとって天の金庫です。私の欲するすべてのものがその中にあります。あなたがどれほど豊かな者となれるのか、すなわち、キリスト・イエスにあってあなたはすべての点で豊かな者となれるということを、お伝えしたいと思います。主はあなたのために恵みの豊かさと、義の賜物とを持っておられます。主の豊かな恵みを通してどんなことでも可能になります。あなたがキリスト・イエスという生けるぶどうの木の生ける枝になれるということ、そして、あなたがこの世にあってあなたのいるこの場所でキリストのような者とされる特権にあずかっているということを、お伝えしたいのです。ヨハネがこう教えています。「私たちもこの世にあってキリストと同じような者であるからです。」（第一ヨハネ四・一七）私たち自身が何か特別な者だというのではありません。私たちの内に住まわれるキリストこそが、いっさいのものをいっさいのもので満たして下さる方です。

主イエスさまはいつでも私たちをご自身に引き寄せるために、主の恵みと愛を積極的に示そうと願われました。神は何事も喜んで行われ、みことばを現して、今日この日この時間に私たちの神のみこころを適切に知らせてくださいます。暮らしに困っている人が大勢います。苦しんでいる人が大勢います。でも私はどんな現状にある人の苦しみも、マタイ八章のはじめに出てくる人の苦しみに比べれば、その半分にも届かないと思います。この男性はらい病人でした。あなたは結核や癌や他の病気に苦しんでいるかもしれませんが、あなたがキリストに生きた信仰を持つなら、神ご自身があなたを完全にきよめられることを、またあなたを完全にいやされることを、目に見えて現し、証明して下さいます。素晴らしいイエスさまが主なのです。

このらい病人はイエスさまについて話を聞いたに違いありません。今日ではイエスさまが何をなさるのかを人々が常に話しているわけではないために、どれほど多くのものが失われていることでしょう。おそらく誰かがこのらい病人のもとに来て、「イエスさまなら、いやすことがおできになります」と言ったのでしょう。それで彼は、主が山のふもとに降りて来られるのを見ながら、期待に胸を膨らませました。らい病人は人々の手の届く範囲に来ることが許されていませんでした。らい病人は汚れた者として締め出されていました。ですから、イエスさまのまわりを群衆が取り囲んでいたので、通常の方法で彼がイエスさまに近づくことはとても困難だったことでしょう。それでも、山から降りて来られると主はこの気の毒ならい病人に会われました。ああ、この恐ろしい病気に！　人間的に言えば彼は治る見込みがありませんでした。けれども、イエスさまにとって手に負えないことは何一つありません。彼は叫びました。「主よ。お心一つで、私をきよくしていただけます。」きよくすることはイエスさまのみこころだったのでしょうか。イエスさまが良いわざを行う機会を逃されたことは一度もないことに注意してください。私たちが主に働いていただく機会を願っている以上に、主ご自身がいつでも御業を現そうと喜んで準備しておられるのです。問題は、私たちが主のもとに行かないことです。また、主が私たちの想像をはるかに超えて喜んで与えようとされるものを、私たちが主に願い求めないことです。

そしてイエスさまは手を伸ばして彼に触り、「わたしの心だ。きよくなれ」と言われました。すると、瞬間的に彼のらい病はきよくなりました。私はこの話が好きです。もしあなたが確かにイエスさまと共にいるなら、失望には決して陥りません。神のいのちがあなたに流れ込み、瞬間的にあなたは解放されます。このイエスさまは今日も同じです。主はあなたに言われます。「わたしの心だ。きよくなれ。」主はあなたのために、いのちの水が満たされて溢れ出ているコップを持っておられます。絶望的な状況でも、主はあなたに会われます。あなたが信じさえすれば、どんなことでもできるのです。神が持っておられる計画は現実です。そして非常に単純なものです。ただ、イエスさまのもとに来て下さい。そうすれば、イエスさまがかつて地上におられた時と全く同じ方であること知ることができます。

この章の次の話は百人隊長の物語です。彼は中風でひどく苦しんでいるしもべのために、イエスさまのみもとに来て懇願しました。この男は非常に熱心だったので、イエスさまを探し求めてみもとに来ました。確かなことが一つあります。探したにもかかわらず見出さないというようなことはありません。このことに注意して下さい。探す者は見出します。イエスさまが言われた恵みのことばを聞きましょう。「行って、いやしてあげよう。」私たちが足を運ぶ多くの場所で、私たちが祈ってあげられない人々が実にたくさんいます。ある場所では、二百人から三百人近くの人が、私たちの訪問を待っていることがありますが、すべての人のところに訪問することはできません。ですが、嬉しいことに、主イエスさまはいつでも喜んで、行っていやそうとされます。主は病人と会うことを切望されています。主は彼らの苦しみを取り除いていやすことを、この上なく望んでおられます。パウロの時代に主がハンカチを使って人々をいやされたことがありますが、今日でも主はハンカチを使ってでも多くの人をいやしてくださいます。ハンカチの奇跡は使徒一九・一二にあります。

リバプールの町で、ある女性が私のところに来て言いました。「あなたに助けていただきたいことがあります。私と一緒に祈っていただきたいのです。私の夫が酒飲みで、毎晩酔っ払って家に帰ります。一緒に夫のために祈っていただけませんか。」私は夫人に言いました。「ハンカチを持っていますか。」夫人はハンカチを取り出して、私はそれに手を置いて祈りました。それから、このハンカチを酒飲みの旦那の枕の上に置いて下さいと言いました。その夜、旦那が帰って来て、ハンカチを敷いた枕の上に頭を載せました。彼がその夜に頭を置いたのは、枕よりももっと偉大なものです。彼は神の約束の上に頭を置いたのです。マルコ一一・二四にはこうあります。「祈って求めるものは何でも、すでに受けたと信じなさい。そうすれば、そのとおりになります。」

翌朝、その男性が起きてから、仕事に向かう途中にある一番最初の酒場に寄って、ビールを注文しました。彼は一口飲んで、バーテンダーに言いました。「このビールに毒か何かを入れたな。」彼は飲むことができませんでした。それから次の酒場に行って、またビールを注文しました。彼は一口飲んで、カウンターの向こうの者に言いました。「このビールに毒が入っている。お前たちは俺を毒で殺そうと共謀しているに違いない。」言いがかりをつけられたバーテンダーは憤慨していました。旦那は言いました。「他の店に行く。」彼は別の酒場に行きましたが、前の二つの酒場と同じことが起こりました。大騒ぎをしたので、彼は店から追い出されてしまいました。彼は仕事を終えて、帰りにまた別の酒場に寄ってビールを注文しました。しかし、今度もまたビールに毒が入っている感じがしたので、彼は店で大声で騒ぎ立てて、店からつまみ出されました。家に着くと、夫人に今日起きたことを話し、「やつら全員で共謀して俺に毒を盛っているみたいだ」と言いました。夫人は言いました。「主の御手のうちにあることが分かりませんか。主は、あなたのからだを壊すようなものをあなたが嫌いになるように仕向けているんですよ。」この言葉で旦那の心は確信を持つようになりました。彼は集会に参加して、救われました。主は今も、捕らわれ人を自由にするために力強く働かれます。

私がオーストラリアにいた頃のことです。怠け者の息子にほとほと困り果てている一人の女性が私のもとに来ました。私はハンカチに手を置いて祈り、そのハンカチを息子の枕に置いてもらいました。彼はその晩、ハンカチに頭を置いて寝ました。翌朝になって彼が起きると、職を得て働きに出ました。ああ、主をほめたたえます。神を締め出さないで下さい。神を信じさせすれば、神は悪魔を追い出されるのです。

イエスさまは病気のしもべのところに、喜んで行っていやそうとされました。ところが、百人隊長は言いました。「主よ。あなたを私の屋根の下にお入れする資格は私にはありません。ただ、おことばを下さい。そうすれば、私のしもべは直ります。」イエスさまはこれを聞いて驚かれ、百人隊長に言われました。「さあ行きなさい。あなたの信じたとおりになるように。」ちょうどその時、そのしもべはいやされました。

これもオーストラリアにいた頃のことです。男性が私のもとに来ました。彼は大きな杖をついていました。そして私にこう言いました。「助けていただきたいことがあります。私のために、一時間半祈っていただけないでしょうか。」私は言いました。「神を信じて下さい。そうすれば、一瞬であなたは全身が良くなります。」彼の信仰がよみがえって、すぐにいやしを受け取ることができました。奇跡的ないやしのことで神に栄光を返しながら、彼は帰って行きました。主のことばは今日、十分です。大胆に神のことばを信じるならば、あなたは神のことばが真実で素晴らしい働きをするのを見るでしょう。私たちは百人隊長と同じように、神を制限しない大胆な信仰を持つことができます。うまくいかないのは、イスラエルの聖霊を私たちが制限してしまう時です。神のことばを信じる生きた信仰を持つために、この私があなたの励みになりたいと思います。

次の聖書箇所はペテロのしゅうとめが熱病からいやされた話です。ルカの福音書によればイエスさまは熱病を叱られました。イエスさまは新しい方法を使いました。今日、多くの人が熱が出たら発汗して治そうとします。でも発汗しても悪魔を追い出すことはできません。あなたがどれだけからだを温めても、悪魔はその熱に耐えることができます。しかし、あなたが信じることができるなら、ペテロのしゅうとめがそうだったのように、解放が起こるのは確実で揺るぎないことです。

私は一度、自分の家から二百マイル離れたところに急いで来てほしいという電報を受け取ったことがあります。その場所に行くと、悲しみに打ちひしがれている両親がいました。両親に案内されて二階に行くと、若い女性がいて、五人の人が彼女を床に押さえつけていました。彼女はか弱い女性でしたが、そこにいた若い男性の誰よりも強い力が出ていました。私が部屋に入ると、悪しき力が彼女の目を使ってこちらを見て、彼女の口を使って話しました。「俺たちは大勢いる。お前は俺たちを追い出せない。」私は「イエスさまができる」と言いました。主はどんな状況に対しても力があります。主は祝福する機会を待っておられるのです。主は人々のたましいを解放するあらゆる機会に対して用意ができています。私たちがイエスさまを受け入れる時、このことばが私たちの真理になります。「あなたがたのうちにおられる方が、この世のうちにいる、あの者よりも力があるからです。」（第一ヨハネ四・四）主はすべての闇の勢力よりも力があります。人間の力で悪魔に立ち向かうことはできませんが、イエスさまを知る知識に満たされた人、イエスさまの臨在に満たされた人、イエスさまの力に満たされた人は、闇の勢力に打ち勝つ者となるのです。神が私たちを召されたのは、私たちを愛して下さった方によって、私たちが圧倒的な勝利者となるためです。

生けるみことばは悪魔の力を打ち砕くことができます。イエスの御名に力があります。私はその家の通り沿いのすべての窓にイエスの御名を大きく書いてもらいました。イエスの御名が、その御名を信じる信仰を通して、このあわれなたましいの束縛に解放をもたらしました。三十七の悪魔がおのおのの名前を彼女の口で叫びながら出て行きました。この可愛らしい女性は完全に解放されました。それで、彼女は自分の子どもをおんぶすることができました。その晩、その家の中は天国でした。両親も、息子も、息子の妻も、主の無限の恵みのゆえにキリストの栄光をたたえて、みなが一つに結ばれていました。翌朝、私たちは朝食で恵み深い時間を過ごしました。あらゆることが私たちの素晴らしいイエスさまと共にあって、素晴らしいものとなります。大胆にあなたのいっさいをキリストにゆだねるなら、事は起こり、主は状況全体を変えて下さいます。一瞬で、イエスの御名によって、新しい秩序ある平和がそこに訪れるのです。

世界には多くの病気が日々新たに発見されていて、医者にはそのすべてを突き止めることはできません。ある医者が私に言いました。「医学はまだ幼児のようなものです。私たち医者は本当は医療に自信がありません。いつでも実験をしているのです。」しかし、神の人は実験しません。神の人は、贖いが十全であることを知っているか、さもなくば知るべきです。神の人は、主イエス・キリストの力強さを知っているか、さもなくば知るべきです。神の人は、外見上の観察によっては動かされず、イエスの御名の力強さとイエスの血の力について神からの啓示を受けています、さもなくば受けるべきです。私が主イエス・キリストへの信仰を行使するなら、主は来られてすべての闇の勢力に対して栄光ある勝利をもたらします。

「夕方になると、人々は悪霊につかれた者を大ぜい、みもとに連れて来た。そこで、イエスはみことばをもって霊どもを追い出し、また病気の人々をみないやされた。これは、預言者イザヤを通して言われた事が成就するためであった。『彼が私たちのわずらいを身に引き受け、私たちの病を背負った。』」（一六、一七節）あなたが信じさえすれば、御業はなされます。それはもうなされました。彼が私たちのわずらいを身に引き受け、私の病を背負われました。カルバリに行かれた神の小羊を見上げさえするならば！　私たちの肉はキリストと共に十字架につけられ、主はその身に私たちすべての罪とその罪の結果という重荷を背負われました。十字架の上で神は私たちの咎をすべて負わされました。カルバリの十字架の上で、神は罪の結果をも処理されました。「子たちはみな血と肉とを持っているので、主もまた同じように、これらのものをお持ちになりました。これは、その死によって、悪魔という、死の力を持つ者を滅ぼし、一生涯死の恐怖につながれて奴隷となっていた人々を解放してくださるためでした。」（ヘブル二・一四〜一五）キリストの死が今日でもあなたを解放するのです。