第九章　結論

第五十六節

マカリウスよ。キリストを愛するあなたのために、キリストの信仰と、私たちにキリストの神性が現れたという信仰とをここに要約する。これはあなたにとって始まりである。あなたは聖書を学んで、その真実を証明するよう努めなければならない。聖書は神が書き記し、神の霊感を受けている。そして私たちは、霊感を受けた教師たちから学んできた。聖書を読み、キリストの神性のために殉教者となった教師たちだ。私たちもあなたの学ぶ意欲を高める貢献をしよう。聖書を学んでいけば、キリストが再び来臨されることをも知ろう。神の栄光の御姿で、もはや卑しさではなく栄光のうちに、へりくだりではなく尊厳をもって、苦しむためでなく私たち皆に十字架の実りを授けるために、キリストは来臨する。十字架の実りとは、復活と不朽である。もはやキリストは裁かれる側ではなくご自身が裁く方となり、善であれ悪であれ、一人ひとりをその肉体の行いに応じて裁く。善を行った者には天の御国を与え、悪を行った者には外の暗闇と永遠の火を与える。だからまた、主ご自身が言われる。「あなたがたに言っておきますが、今からのち、人の子が、力ある方の右の座着き、天の雲に乗ってくるのを、あなたがたは見ることになります」（マタイ二六・六四）。かの日に備えるために、私たちはキリストご自身のことばをいただいた。「目をさましていなさい。あなたがたは、自分の主がいつ来られるか、知らないからです」（マタイ二四・四二）。また、幸いなパウロが言っている。「私たちはみな、キリストのさばきの座に現れて、善であれ悪であれ、各自その肉体にあってした行為に応じて報いを受けることになるからです」（第二コリント五・一〇）。

第五十七節

けれども、聖書の探求と正しい理解のためには、善良な生き方と純粋な魂が欠かせない。また、クリスチャンの徳が、みことばなる神に関する真理を人間の理性のおよぶかぎり理解できるように導くためにも、それは欠かせない。純粋な心をもって聖人の生き方を模倣しようとしない限りは、聖人の教えを理解することは到底できない。陽の光を見ようと願う者が、自分の目のごみを払うのは当然だ。見るための目をいくらかでもきよい状態に近づけるためである。また、町や国を一目見ようと願う者は、見るためにその場所に行くものだ。同様に、聖なる著者たちの心を理解しようと望む者は、まず自分自身の生き方をきよめ、聖人の行いを模倣することで聖人に近づかなければならない。このように聖人たちといのちの交わりにおいて結ばれるなら、神が彼らに啓示されたものを理解するようになる。さらに、恐るべき裁きの日の危難を逃れて、天の御国で聖徒に用意されているものを受け取るようになる。その報酬についてこう書かれている。「目が見たことのないもの、耳が聞いたことのないもの、そして、人の心に思い浮かんだことのないもの。……神の備えてくださったものは、みなそうである」（第一コリント二・九）。敬虔な生活で神を愛する者たちと、私たちの主キリスト・イエスを通じてまたキリストによって父となった神に、子なるキリストとともに、聖霊において、誉れと力と栄光が世々にあるように。アーメン。